存在可能性、論述可能性(記述可能性)、爆撃可能性。存在の可否はその存在が実現する世界の構造に依存する。論述の可否はその論述が実現する言語の構造に依存する。爆撃の可否はその爆撃が実現する対象の構造に依存する。しかし一般に、爆撃はそれ自体が記述される必要があり、その記述が実現する言語の構造に依存している。また実際の爆撃の成否はその状況と爆撃者の技量とにも依存するが、ここではそれを考慮せず言語の構造的制限下における最大限の爆撃可能性を想定する。したがって論述可能性と爆撃可能性はほぼ一致する。ゆえに、以下のようなシンプルな包含関係が導かれる。存在可能なものは論述可能であり、爆撃可能である。存在不可なものは論述不可であるとは限らず、したがって爆撃不可であるとも限らない。論述可能なものは爆撃可能であるが、存在可能であるとは限らない。論述不可なものは爆撃不可であり、存在不可である。爆撃可能なものは論述可能であり、存在可能であるとは限らない。爆撃不可なものは論述不可であり、存在不可である。
爆撃可能性(爆撃の構造的制約条件)と実際の爆撃の成否(爆撃の場面的制約条件)を別に考えるのと同様に、ここでの議論における存在可能性が必ずしも存在を保証しないことは言うまでもないが、存在可能性と存在とを等価に扱う議論を展開することも可能である。